「愛の限界・人間の限界」〜加藤諦三教授の……
ショパン・マリアージュ(北海道)
2025.04.05
ショパン・マリアージュ
「あなたのことを心配しているの」「あなたが一番大事だから」――そんな言葉の裏に、時に無意識のうちに潜んでいるのは、「私の思い通りになってほしい」「私の不安をあなたで埋めてほしい」という支配欲である。加藤諦三は、そのような「愛」という名のもとに他者の自由を奪う行為を、「未熟な愛」と呼んだ。
実際に、ある女性のエピソードを紹介しよう。彼女は30代半ばで、長年交際してきた男性と結婚を目前にしていた。しかし彼女は、日常的に彼の行動を制限し、「どこに行ったの?」「誰と話していたの?」「私が一番じゃないと嫌」といった言葉を繰り返していた。当初、彼は「愛されている」と感じていたが、次第に彼女の束縛に息苦しさを感じるようになり、最終的に関係は破綻した。
この女性は、心の深い部分で「自分は愛される価値がないのではないか」という不安を抱えていた。その不安を打ち消すために、彼の時間や視線、関心のすべてを独占しようとしたのだ。しかし、独占しようとするその行動こそが、相手を遠ざけ、関係を壊してしまう。
加藤氏はこのような関係について、「愛というよりむしろ不安の表現」であると述べる。つまり、「あなたを愛しているから自由を奪う」のではなく、「あなたを失うことが怖いから自由を奪う」のだ。こうした関係において、相手の成長はむしろ脅威である。なぜなら、相手が成長し、自立すればするほど、自分の手から離れていってしまうと感じるからである。
「なぜ、あなたは私にそれほど執着するのか?」この問いに明確に答えられる人は少ない。多くの場合、独占欲を抱く人は、自分が「執着している」ことすら自覚していない。むしろ、それを「強い愛」と錯覚している。
加藤諦三は「未熟な愛とは、自己不信の投影である」と説く。つまり、相手を独占しなければ不安になるのは、自分自身を信じられず、「いつか見捨てられるのではないか」という恐怖を抱えているからである。
ある中年男性の話を紹介しよう。彼は20代の妻に対して異常なまでの束縛を行っていた。LINEの返信が10分遅れると怒り、仕事帰りに同僚とお茶をするだけで激昂した。妻がどれだけ説明しても、彼は「お前は俺を裏切る」と信じて疑わなかった。
その根底には、幼少期に母親から充分な肯定を受けなかったという体験があった。彼は、母の期待に応えるために生きてきたが、決して「そのままの自分」が受け入れられたことはなかった。そのため、「愛されるには相手を支配しなければならない」という歪んだ信念を無意識に抱いていたのだ。
愛の独占を求める人は、自分の存在価値を他者によって証明しようとする。つまり、「誰かに愛されている私」が存在価値の根拠となっている。だからこそ、相手が少しでも離れていく素振りを見せると、「存在が脅かされる」と感じてしまう。
加藤氏は著作の中で繰り返し、「自分自身を受け入れていない人間は、他者を信頼することもできない」と述べている。他者との健全な関係を築くためには、まず自己との関係を癒す必要がある。
独占する側に注目が集まりやすいが、もう一方の「独占される側」にも、深い苦悩が存在する。特に「愛されることは幸せである」という思い込みがあると、相手の支配を受け入れやすくなる。
ある女性は、交際相手から毎日のように「君が他の男と話しているのを見ると、気が狂いそうになる」と言われていた。彼女は当初、「こんなに自分を想ってくれるなんて」と感動していたが、次第に自由を奪われ、友人と会うことすら許されなくなっていった。
彼女は徐々に笑わなくなり、自己否定感を深めていった。しかし、その状況から抜け出すことができなかった。なぜなら、彼を拒絶することは「自分を愛してくれている存在」を否定することと同義に感じたからである。
独占される側の人間もまた、「愛されたい」「拒まれたくない」という恐れから、関係を続けようとしてしまう。その結果、「相手の期待に応えなければならない」「相手の不安を私が癒やさなければならない」といった義務感を抱く。
加藤氏は「愛されることに対する依存」もまた、未熟な精神の表れであると述べる。成熟した愛においては、「愛される」ことよりも、「自分が自分を愛せる」ことの方が重要だ。なぜなら、自分を否定してまで相手に尽くすことは、いずれどこかで自己崩壊を招くからである。
愛の独占という問題の根本には、母子関係が深く関わっている。加藤諦三は「人間関係の原型は母との関係にある」と語る。特に、母親の過干渉や過保護は、子どもの自立心を奪い、他者との依存的な関係を再生産する原因となる。
ある青年の例を挙げよう。彼は30代になっても母と毎日電話をし、母の了承なしには転職も結婚もできなかった。母は常に「あなたのためを思って」と言いながら、彼のすべてを把握しようとした。
その結果、彼は職場での人間関係においても、自分の判断ではなく、常に「誰かの承認」を求めるようになった。そして恋愛関係でも、相手に「母のような愛」を求めすぎ、破綻を繰り返した。
愛とは本来、相手が「自分自身として生きていく力」を得られるように支援するものである。しかし、「私がいなければ生きていけないようにする」愛は、相手を成長させるどころか、精神的な幼児性を温存させる。
加藤氏は、母親が「自分の存在価値」を子に依存するとき、愛の名のもとにその成長を妨げる構造が生まれると警告する。「あなただけが私の生きがい」と言う母の姿勢は、実は子どもを精神的な囚人にする危険を孕んでいるのだ。
恋愛や結婚の場面では、「あなたを誰よりも愛している」という言葉がしばしば使われる。だが、その言葉の裏に「私の思い通りに動いてくれなければ不安」という感情が潜んでいる場合、それは愛ではなくコントロールの意思である。
ある夫婦の例を挙げよう。夫は仕事が多忙で、夜遅く帰宅することが多かった。妻は「寂しい」と言い続けるうちに、夫の携帯をチェックし、外出先を逐一報告させるようになった。当初は「私のことを想ってくれているから」と受け止めていた夫も、次第に疲弊し、ついには心が離れてしまった。
このような関係は、「あなたが私の愛を裏切るのが怖い」という不安に基づく。加藤諦三は、相手を縛ることでしか関係性を維持できない愛を「歪んだ愛」と定義する。歪んだ愛は、相手の自由や個性を奪い、関係を固定化する。
社会的なイメージ――「良妻賢母」「一家の大黒柱」といった役割意識――もまた、愛の歪みを生む温床となる。「私は夫の役に立たなければ愛されない」「妻として家を守らなければ見捨てられる」といった思い込みは、互いの自由を奪い、関係を窮屈なものに変えてしまう。
加藤氏は共依存の関係について、「他者の評価を自分の価値基準としたとき、人は自由を失う」と語っている。結婚生活は、形式ではなく、相手と自分がともに成長しあえる「自由と信頼」に支えられるべきである。
愛の独占に苦しむ人々の多くは、「愛されたい」という強い欲求を持ちながら、「自分を愛せない」という内的矛盾を抱えている。真に他者を愛するためには、まず自己と向き合い、自分自身を受け入れ、癒す必要がある。
ある女性は、恋愛関係がうまくいかないたびに「また裏切られた」「私は愛されない」と感じていた。しかし、カウンセリングの中で、自分が幼少期から母親に「良い子でいなければ愛されない」と思い込まされていたことに気づいた。そして初めて、「自分は誰かに合わせてばかりで、自分自身を愛することを知らなかった」と涙を流した。
このように、過去の経験に向き合い、「傷ついた心」を理解し癒やすことが、真の愛への第一歩となる。
加藤氏は「愛とは、相手の自由を尊重する勇気である」と説く。愛しているからこそ、相手を信じる。信じるからこそ、束縛しない。そして、自分が自分であることを大切にするからこそ、相手の「相手らしさ」も尊重できるようになる。
恋愛や結婚において、本当に大切なのは「相手がどれだけ自分に尽くしてくれるか」ではない。「自分が自分らしくあること」と「相手が相手らしくあること」を両立させること。そこに初めて、成熟した愛が生まれる。
ここまで述べてきたように、愛が成長を妨げるとき、それは多くの場合「未熟な心」に起因する。他者への独占欲、自己否定、不安、役割への過剰な執着。これらが交差すると、愛は「相手を束縛する手段」となり、真のつながりを奪う。
一方で、愛が成熟し、自立した二人の間で交わされるとき、それは互いを深く成長させる力となる。加藤諦三は「愛とは、自分を豊かにし、他者を豊かにする力」と定義する。愛は感情ではなく、生き方であり、他者への在り方である。
成熟した愛には、以下の三つの要素が求められる。
自己受容:自分の弱さや未熟さを受け入れること
相手の自由の尊重:相手の選択を信じる勇気
成長志向:互いに高め合う姿勢
この三つがそろうとき、愛は依存ではなく「自由な関係」となる。そこには恐れも、支配もない。ただ、信頼と尊重と希望があるだけである。
この言葉こそ、加藤諦三が求め続けた「真の愛」のかたちであろう。相手がいなければ自分が壊れてしまうのではなく、相手と離れても自分の人生をしっかり歩んでいける。その上で「あなたと生きたい」と願う。そこに、強さとやさしさが宿る。
愛は、他者を通して自分を知る手段でもある。相手を通して自分の心の未熟さを知り、そしてそれを乗り越えていくこと。それこそが、愛が人を成熟させ、人生を豊かにする所以である。
加藤諦三は、著作を通じて私たちに繰り返し問いかける――「あなたのその愛は、本当に愛ですか? それとも、不安の仮面ですか?」
この問いに真摯に向き合い、自らの心と他者との関係を見つめ直すこと。そこにこそ、自由で成熟した人生と、豊かな人間関係への道が開かれていくのだ。
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